人間形成と食育・食教育 

人間形成と食育・食教育―食のいとなみがからだをつくる・心を育てる

2002年1月1日発行の本。ですから、10年前の話。

 

1996年、長野県の小中高校の人達が共同で教育調査を行ったんだそうです。

その結果が書いてあったのですが、

「生まれてこなければよかった」と思っている子どもが、小学校高学年と中学生で20%から25%いたのだそうです。

また、同じ調査で

「あなたはもう学校に来なくていい、自由にしていいと言われたら何をしますか?」

→ 「朝から晩まで寝ている」と答えた子がほとんど

「後輩に言い残したいことは」

→ 「学力や偏差値が上がったさがったということは一切意味がないから、こういうことは考えない方がいい」

 

読んだ時、それはそうですねぇ…なんて思って読み進めたのでした。

でも、今はどうだろう?10年たった今。

こんな質問をして…まとめているデータがどこかにあるのかなぁ…。

 

食べ物に対する無関心がありますから、実際のモノと知識や言葉が一致しません。言葉だけが浮遊して、今の言葉でいえばバーチャルリアリティーの状態が子どもに現れたと言われるようになったのは、70年代くらいからなんだそうです。

稲と麦の区別がつかない子どもがいます。

鶏の脚を4本描く子ども達もいます。家で鶏を飼っている農家の子どもですら、脚を4本描く…

こんな事実に対して、この本では結論として書いている言葉

ですから、子どもたちは意識して見つめてはいないのです。親の生活や地域の人々の暮らしに全然、関心がないのです。ですから、目を開いていても何も見ていないという生活状態になっているのです。

本の文章のまま。「ですから」が気にはなりますが、とても面白い指摘だと線を引いていました。

 

ルソーやフレーベルなども出てくる。

この本によると、

ルソーは、食教育=健康教育=主権者教育つまり政治教育、としっかりつながって枠組みをしているとのことです。

ルソーの『エミール』を読んだことはありません…。でも、その『エミール』は、革命が起きて新しい世の中になるだろうと予感したところに書いた本なんだそうです。

そして、その『エミール』の中で、新しい時代の人間を育てるにはどう言う教育をしていけばいいのかということを、家庭教師とエミールという男の子との関係で描いているのだそうです。

と、私はホント、『エミール』を読んでいないので、ただただ、へぇ~って思うのですが、こう書いてあります。

食事をするということは、自己保存つまり自分の命や体を守ることです。それが食の基本です。自分の体なのだから自分でちゃんとできなくてはいけません。これはそのまま健康教育と言えるわけですが、それができないで、どうして来るべき民主的な共和国の主人公に慣れるでしょうか。自分のこともコントロールできない、自己保存や自己教育もできなくて、どうして国家・社会の主権者になれるでしょうか。これがルソーの主張です。つまりルソーの食教育とは、民主的な主権者を育てるための基礎的な教育の過程であると位置づけられるわけです。

 ルソーが自己保存の教育として大事だと言っている食教育のひとつは、自分の身体感覚に敏感にならなくてはいけないということです。おなかが減ったときには「腹減ったー」です。おいしいものを食べて満たされた時は充足感を満喫します。そんな身体感覚を作らなければいけないというのです。だから、働いておなかが減る、運動しておなかが減るという生活をしなければいけません。ルソーは、そうした体、感覚、完成の教育を重視しました。

 また、味覚を育てるために、ゴテゴテしたものを食べさせてはいけないしています。食材そのものの味がわかるような子どもに育てなさいと言っています。自分にとってどんな食べ物がいいのか、どんな料理がいいのアkということを自分で判断して選択できるような子どもにしなければいけないのです。

 最後に、自分の食卓に並べられている食べ物は、どれくらいの人々のどのような手をとお手、この食卓に並んでいるかということをちゃんと理解できる子どもにしなければ、新しい民主的な社会の主人公・主権者にはなれませんよと言っています。

だそうです。

そして、ペスタロッチ―という人が、このルソーの食教育論に共感し、「パンがどこから来るかも知らないことこそ、現代教育の欠陥の中心点である」「これを知らないで、人間の知識とは一体何であろうか」と述べているんだそうです。

『エミール』という本が書かれたのは1762年。

 

“Qu’ils mangent de la brioche”

マリー・アントワネットは、フランス革命前に民衆が貧困と食料難に陥った際、発言したというこの言葉は何年の言葉でしょう…?と思わされました。本当は、ルイ16世の叔母であるビクトワール王女の発言だとか。でも、この言葉をマリー・アントワネットが言ったとうわさを広めることの効果を思わされますね。

 

いろんな食にまつわる事例はたくさん載っているのですが、ルソーまで話が及んでいる凄さ…。

ルソーって聞いたことがあるけど、政治か経済の世界の話…としか思っていなかったのに、ビックリです。

 

そんな風に調べたら… ジョン・ロックって、この人も世界史で習った名前…って、食にまつわることをおっしゃっていたのですねぇ…

イギリスの哲学者ジョン・ロックは,その「教育に関する考察」(1693年)の中で,子供の食事に関して,肉類はできるだけ控えるべきであり,牛乳,ポタージュ,かゆ等の食品が子供には適している,といったことを述べている

そして

子供に適した食べ物とは,子供にとって自然な,すなわち自然の好みにしたがった食べ物であり,裏を返せば,自然人の食べ物ということになる。また,私たちの文脈に即して言えば,人間が本来(自然状態において)食べるべき物なのである。

この文章はルソーの文なのだそうです。

人の性格や気質が食べ物の好みにも反映する。もしくは食べ物が人間の性格にも影響を及ぼし得るという考え方は,18世紀において,かなり広く信じられていたようである。

なんてことも述べられていました。

ルソーにおける菜食の思想と自然意識 』 田中恒寿

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/137803/1/fbk000_024_061.pdf

 

 

 

 

投稿者:

nova

novaは一人です。

「人間形成と食育・食教育 」への7件のフィードバック

  1. David, you will not receive copies in the previous letters. As the letters go forward that number may be in the hundreds. But if there’s a particular letter send us an email and maybe we can figure something out.

  2. Can u please how can i change my username(not g+ user name…its gplus.to username…because anyone put a … username on my id)….plz help me

    1. Thank you for comment. But I was not able to understand that you wanted to say.

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